表彰式開催レポート



表彰式集合写真

「サイバーセキュリティアワード2026」(主催:デジタル政策フォーラム)の表彰式が2026年3月16日(月)、東京・丸の内で開催されました。本アワードは、サイバーセキュリティの普及啓発ひいては国民のリテラシー向上を願い、 そのナレッジやリスクを専門家だけでなく広く一般の人々に対して分かりやすく伝えるコンテンツを顕彰するものです。

第3回目となった「サイバーセキュリティアワード2026」では、「書籍」「Web・コンテンツ」「フィクション」 「企画」の4部門に対し100件を超える応募(自薦・他薦)が寄せられました。厳正な審査の結果、優秀なもの12点を選抜、 部門ごとに最優秀賞が1点ずつ、そして「大賞」が1点選定されました。また、書籍部門では「審査委員会特別賞」が1点選出されました。

表彰式では、ノミネート作品の著者・編集者・制作者・運営者のほか、審査委員、大賞スポンサー、ご来賓、後援団体、事務局が一堂に会し、 受賞作品の栄誉とクリエイターの努力を称えました。

*本イベントは、「サイバーセキュリティ月間2026」(2月1日~3月18日)の関連行事として開催しました。

受賞作品一覧

NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代

【サイバーセキュリティアワード2026 大賞】
NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代

制作:NHK、パオネットワーク、NHKエンタープライズ

ディープフェイクをめぐるドラマ・ドキュメンタリー。実際に起きた事件と背景を徹底取材し、日本の近未来をドラマ化。

作品紹介サイト

受賞者コメント

四宮 秀仁

株式会社パオネットワーク ディレクター

制作会社からの提案としてこの企画を書きました。サイバーセキュリティに関する知識はそれほどなく、ディープフェイクをはじめいろいろなことを必死に調べ、NHKの皆さんに相談させていただき、最終的には100人くらいの方々のご協力によって出来上がった作品です。関係者の皆様に深く感謝申し上げます。この企画がスタートしたのは2023年でした。AIが凄まじい速さで進化するにつれ世界中でAIがからんだ事件が次々に起こり、そこに巻き込まれてしまう人たちが出てきて、当初のプロットは大幅に書き換えられていきました。ディープフェイクという言葉は一般の視聴者の皆様には耳なじみが無く、分かりやすく伝えるにはどうしたら良いか考えた結果、ドキュメンタリーとドラマの組み合わせというかたちに着地しました。多くの方々に視聴していただき、また、このような賞をいただくことができ、大変嬉しく思っています。ありがとうございました。

四宮 秀仁

大賞スポンサー 講評

関根 太郎

関根 太郎

NTTセキュリティ・ジャパン株式会社 代表取締役社長

私どもの会社はサイバーセキュリティに関する主に技術的な支援を行っていますが、とても難しいのは、少数派である「サイバーセキュリティに関する知識・意識の高い人」と多数派である「必ずしもそうではない人」の間でいかに合意を形成するかということです。大賞の栄誉に輝いた『NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代』は、具体的な事実に基いた迫力あるストーリーによって、多くの方々にサイバーセキュリティの現状について正しく知っていただくことに貢献するものだと思います。それは、サイバーセキュリティを生業とする私どもにとっても大変ありがたいことです。本当におめでとうございました。

鵜飼 裕司

鵜飼 裕司

株式会社FFRIセキュリティ 代表取締役社長

私も作品を視聴させていただきましたが、「すごく面白かった」というのが率直な感想です。サイバーセキュリティ関連のフィクション作品というのは、リアリティを追求するとエンターテインメントとしての面白味が薄れてしまい、逆に大衆受けを狙って面白さを優先するとリアリティに欠けてしまい、専門家からの評価が下がってしまいます。本作品は、非常に高次元かつ絶妙にバランスされていて、本当に凄いなと感じました。とてもチャレンジングだとは思いますが、こういった作品が今後もたくさん出てくることを期待しています。このたびは、まことにおめでとうございます。

西本 逸郎

西本 逸郎

株式会社ラック 技術顧問

このドラマは2025年3月18日、サイバーの日に放送され、私も視聴させてもらいましたが、本当にお見事、素晴らしかった。ディープフェイクは、人間の認知や社会の信頼そのものをハッキングするもので、人間の好奇心や悪意といったものを増幅させ、普通のハッキングでは成し得ないようなことまで可能にしてしまう大変な脅威です。この番組は、そうした最先端の脅威を、誰もが直感的に理解できるように映像化したもので、社会全体の耐久性を高める貢献は計り知れないと思います。我々専門家だけでは決してできないことです。制作チームの皆様の取材力、制作力、熱意に心から敬意を表します。本当におめでとうございました。

最優秀賞書籍部門

サイバー攻撃 その瞬間 社長の決定

【書籍部門 最優秀賞】
サイバー攻撃 その瞬間 社長の決定

達城久裕 著、関通サイバー攻撃対策室 刊

創業社長である著者が、自ら被害企業の当事者として体験したサイバーインシデントの全容を時系列で記録した、リアルドキュメント。

作品紹介サイト

受賞者コメント

達城 利元

株式会社関通 経営企画本部長

当社は2024年9月にランサムウェアの被害に遭いました。その時、誰に何を聞いていいのか分からず、ネットで調べても的確な情報が出てこない。目の前の問題に手探りで対処するしかありませんでした。そうした生の体験を世の中に発信することで、少しでも助けになればと願って出版したものです。サイバー攻撃やサイバー犯罪がこれだけニュースになっていても、「自分には関係ない」と思っている方々がまだまだ多いのが現状です。まずは、世の中の社長さんが自分事として考えてもらうことからです。この受賞がそのきっかけになれば良いなと思います。このたびは、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

達城 利元

審査委員会特別賞

医療機関のサイバー対策―患者と経営を守るIT-BCPと緊急対応ガイド

【書籍部門 審査委員会特別賞】
医療機関のサイバー対策―患者と経営を守るIT-BCPと緊急対応ガイド

地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター 編著、一般社団法人ソフトウェア協会 監修、メディカ出版 刊

実際にサイバー攻撃を受けた医療機関の事例をもとに、多職種による対応策を多角的に解説

作品紹介サイト

受賞者コメント

粟倉 康之

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター 事務局 統括マネージャー

我々がサイバー攻撃を受けたのは2022年10月31日でした。何が起こったか分からない状況で、地域の患者様、医療機関の皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。その経験から得た教訓を全国の医療機関の皆様に共有したいという、当センター総長、嶋津岳士の思いをメディカ出版様に受け止めていただき、今回の出版に至りました。職員25名が思いを込めて執筆し、一般社団法人ソフトウェア協会の専門家の皆様に監修いただきました。ご協力、ご支援いただきましたすべての方々に改めて感謝申し上げます。いまだに、サイバー事案は起こり続けています。本書が少しでもお役に立てればと願っております。本日はこのような賞をいただき、本当にありがとうございました。

粟倉 康之

審査委員会特別賞

能動的サイバー防御 日本の国家安全保障戦略の進化

【書籍部門 優秀賞】
能動的サイバー防御 日本の国家安全保障戦略の進化

持永大 著、日本経済新聞出版 刊

能動的サイバー防御に関する議論の歴史的プロセス、サイバー攻撃の実態、核兵器による抑止との違い、主要国のサイバー対策などを専門家が網羅的に解説

作品紹介サイト

受賞者コメント

持永 大

芝浦工業大学 准教授

本書のテーマである能動的サイバー防御は一般の方々には縁遠く、内容も難しいのですが、「一般向けにも分かりやすい」という評価をいただけたことを著者として大変嬉しく思っています。ありがとうございます。

持永 大

審査委員会特別賞

ランサムウエア攻撃との戦い方 セキュリティ担当者になったら読む本<

【書籍部門 優秀賞】
ランサムウエア攻撃との戦い方 セキュリティ担当者になったら読む本

勝村幸博 著、日本BP 刊

攻撃の現状や手口、国内事例、対応方法、対策、歴史を徹底解説。ランサムウエア攻撃を深く理解し被害を最小限に抑えるための技術書

作品紹介サイト

受賞者コメント

勝村 幸博

日経BP 日経クロステック編集委員

このような素晴らしいアワードに応募することは思いつきもしませんでした。推薦していただいた方に感謝いたします。このような光栄を得ることができ、執筆して本当に良かったと思っています。どうもありがとうございました。

達城 利元

審査委員 講評

関根 太郎

上原 哲太郎

立命館大学 情報理工学部 教授

最優秀賞に選ばれた『サイバー攻撃 その瞬間 社長の決定』は、サイバー攻撃を受けた企業の社長さんが、被害の当事者として生々しく、その全容をドキュメンタリーとして書かれており、大変高い評点を獲得されました。特に、「インシデントの迅速な公表」という点を強く押し出されている点については審査委員の皆さんの共感を得たところです。やはり、今どういうことが起きているのかをつまびらかにすることが適切な対策や再発の防止につながってくるのだと思います。実際の対応の中には専門家から見れば必ずしもベストプラクティスではないというものもありますが、一つの事案を多くの方々に生々しく伝えた功績が高く評価されました。

審査委員会特別賞も選ばれた『医療機関のサイバー対策』も、同じく、サイバーインシデントの実経験から生まれた書籍で、情報が整理され、すぐに役立つ情報としてよくまとまっているという評価を得ましたが、医療分野特化で必ずしも分野横断的ではないという意見もありました。他分野への展開の呼び水になることを願い、審査委員会特別賞を授与することといたしました。

優秀賞の『能動的サイバー防御』は、時事性が高いけれども非常に専門的な内容を、歴史的な流れに沿って分かりやすく解説しています。諸外国との比較も興味深いものがありました。『ランサムウエア攻撃との戦い方』は、実際の被害事例を挙げ対策にまで踏み込んでいます。特に、バックアップ体制を整えるだけでは十分ではないことに言及している点を高く評価する審査委員もいました。

受賞者の皆様、おめでとうございました。

最優秀賞Web・コンテンツ部門

ハッカーかずの部屋

【Web・コンテンツ部門 最優秀賞】
ハッカーかずの部屋

「サイバーセキュリティを日本一わかりやすく、かつ、楽しく」をモットーに、難解になりがちなサイバーセキュリティのイメージと知識を、エンタメ要素を交えてわかりやすく解説したYouTubeチャンネル

作品紹介サイト

受賞者コメント

ハッカーかず

6年前、YouTubeチャンネルを開設して、日本一わかりやすく、かつ、面白くサイバーセキュリティを伝えていこうと頑張ってきました。始めるきっかけもそうですし、今でも思うのは、本当に伝えるべき人に伝わっているのかということです。大きな企業のセキュリティレベルは上がってきてはいると思いますが、一般層向けにはまだ十分ではありません。私のチャンネルには多くのコメントを寄せられるのですが、それらの多くがサイバー犯罪の被害者の人たちや、どういう対策をすればいいのかという個人レベルの相談です。そういう人たちと一緒にコンテンツを作ってきて、もう500本ぐらいになっています。そうした6年間の積み重ねが今回の受賞につながったと思っています。これからも、日本一分かりやすくサイバーセキュリティを伝えるために精進していきます。本当にありがとうございました。

ハッカーかず

優秀賞Web・コンテンツ部門

「安心相談窓口だより」および「安心相談窓口SNSアカウント」

【Web・コンテンツ部門 優秀賞】
「安心相談窓口だより」および「安心相談窓口SNSアカウント」

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

IPAの情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられる相談内容などをもとに、情報セキュリティに関するさまざまなテーマを紹介

作品紹介サイト

受賞者コメント

村山 功

独立行政法人情報処理推進機構(IPA) セキュリティセンター 普及啓発・振興部 相談・支援グループ 主幹

私たちの安心相談窓口には、国民の皆様からサイバーセキュリティに関する相談がたくさん寄せられます。新しい手口が出てきたり手口が変わってきたりした場合に「安心相談窓口だより」や「安心相談窓口SNSアカウント」を通していち早く情報をお伝えしています。安心、安全な IT社会のために少しでも貢献できればと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

村山 功

優秀賞Web・コンテンツ部門

AIセキュリティポータル

【Web・コンテンツ部門 優秀賞】
AIセキュリティポータル

達城久裕 著、関通サイバー攻撃対策室 刊

AIセキュリティに関する知識や技術を体系化したAIセキュリティマップ、AIセキュリティに関する文献情報を格納したデータベース、代表的な攻撃や防御に関する解説記事、最新の関連ニュースやリンク集などを発信

作品紹介サイト

受賞者コメント

披田野 清良

株式会社KDDI総合研究所 セキュリティ部門

このような賞をいただき、大変嬉しく思っております。応募させていただいたこちらのサイトは、実は来週(2026年3月中旬)に大幅なリニューアルを行います。皆様からの声に耳を傾けながら、これからも随時アップデートしていきたいと思っています。ご支援、ご指導のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

披田野 清良

審査委員 講評

野溝 のみぞう

野溝 のみぞう

合同会社SecuLeap 代表

Web・コンテンツ部門最優秀賞に輝いた「ハッカーかずの部屋」は、「サイバーセキュリティを日本一わかりやすく、かつ、楽しく」というモットーにとおり、サイバーセキュリティを一般向けにわかりやすく、面白く、エンタメ的に解説するサイトです。6年という長期にわたって試行錯誤を重ねながら、継続してコンテンツを制作・発信してきたことが高く評価されました。審査委員会では、やや煽りすぎの感も否めないという指摘もありましたが、サイバーセキュリティに対する理解の裾野を広げるための貢献はとても大きいという評価で一致しました。

優秀賞の「「安心相談窓口だより」および「安心相談窓口SNSアカウント」は、必ずしも一般向けのコンテンツではないという意見もありましたが、企業、特に中小企業にとって貴重なサポート情報になるという点が高く評価されました。もう一つの「AIセキュリティポータル」は時事性の高い情報が整理されていて、初学者にとってもわかりやすいという点が評価されました。AIセキュリティの普及啓発に関する発展性への期待も高いものがあります。

皆様、おめでとうございます。

フィクション部門 最優秀賞

NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代

【フィクション部門 最優秀賞】
NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代

制作:NHK、パオネットワーク、NHKエンタープライズ

作品紹介サイト

受賞者コメント

大賞受賞コメントを参照)

NHK、パオネットワーク、NHKエンタープライズ

フィクション部門 優秀賞

スマホを落としただけなのに

【フィクション部門 優秀賞】
スマホを落としただけなのに

志駕晃 著、宝島社文庫 刊

「スマホを落とす」というありがちな出来事を発端に個人情報の流出やネット犯罪が連鎖し、当事者の生活が脅かされていく様を描いたサスペンス。書籍シリーズが映画化もされたメディアミックス作品

作品紹介サイト

受賞者コメント

志賀 亮

小説家

この作品を書いたきっかけは、某芸能人のLINEアカウントがハックされて内容が流出したという事件でした。現代においてサイバーセキュリティについて知ることは本当に大切だなと思いながら書いたのを覚えています。サイバー犯罪というのは小説では非常に書きにくいものなのですが、おかげさまで、ほどよくエンタメとして楽しんでいただけるものになりました。今回はこのような賞を頂き本当に良かったと思っています。どうもありがとうございました。

志賀亮

フィクション部門 優秀賞

HACK

【フィクション部門 優秀賞】
HACK

橘玲 著、幻冬舎 刊

海外で暮らすハッカーが、特殊詐欺で稼いだ違法資金を暗号資産を使ったマネーロンダリングに関わることから物語が始まる。テクノロジーとサスペンスを掛け合わせたストーリー

作品紹介サイト

受賞者コメント

志儀 保博

『HACK』編集担当

「プログラミングも満足にできない自分のような素人が書いた作品を、サイバーセキュリティの専門家の皆様から評価していただき、とても嬉しいです」(著者・橘玲氏からのメッセージを代読)

志儀 保博

審査委員 講評

盛合 志帆

盛合 志帆

国立研究開発法人情報通信研究機構 執行役 経営企画部長

フィクション部門最優秀賞に輝いた『NHKスペシャル “創られた”真実 ディープフェイクの時代』は、ディープフェイクをめぐるドラマ・ドキュメンタリーです。実際の事件とその背景を深堀りする取材がベースになっていることに加え、映像のインパクトが非常に大きく、誰にでもわかりやすいという点が高く評価されました。

優秀賞の『スマホを落としただけなのに』は、2017年にシリーズ第一弾が刊行されて以来、現在までに四巻が発表され、シリーズ累計で100万部を突破するヒット作となっています。2018年には映画も公開され、誰にでも起こりうる「スマホを紛失する」ということを発端にサイバーセキュリティの怖さを見事に描き出しました。一般に響く内容、そして文庫と映画のマルチメディア展開が高く評価されました。

もう一つの『HACK』は、暗号資産を題材とするミステリーサスペンス小説です。必ずしもサイバーセキュリティど真ん中というわけではありませんが、すそ野を大きく広げる内容であるという点が高く評価されました。

皆様、大変おめでとうございました。

企画部門 最優秀賞

官学連携による「ニセ警察詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺等仮想体験ツール」の開発

【企画部門 最優秀賞】
官学連携による「ニセ警察詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺等仮想体験ツール」の開発

大阪府警察本部、大阪府立都島工業高等学校、香川大学

SNS型投資・ロマンス詐欺等、仮想体験教材として、全国20を超える県警察等で活用されている体験ツール

作品紹介サイト

受賞者コメント

井上 信輔

大阪府警察本部 府民安全対策課長補佐

このツールの制作にあたって、警察は最新の詐欺手口の情報提供やストーリーのアウトライン制作を、宮古島工業高校の生徒さんの皆さんはプログラミングや生成AIを活用した動画制作など、そして香川大学サイバーセキュリティセンターの皆様には、技術面の指導や制作全般の統括を担当しました。三者それぞれの持ち味を生かした協力による成果であり、いずれかが欠けても完成しなかったと思います。この場をお借りして、宮古島工業高校の皆様と香川大学サイバーセキュリティセンターの皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

この仮想体験ツールの優れている点は、二次元コードを読み込むだけで、いつでもどこでも誰でも無料で手軽に詐欺の実際の手口を体験していただけるという、その普及性の高さだと思っています。その点を評価いただいて、大阪府警本部だけでなく、全国各地の警察、企業の方々に広くご活用いただいています。偽警察詐欺の被害やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害は拡大の一途をたどっており、それに加担する闇バイトも後を絶たない状況です。今回の受賞を契機として、この仮想体験ツールをより一層普及促進し、一件でも多くの詐欺被害を防いでいきたいと考えています。本日はどうもありがとうございました。

井上信輔

企画部門 優秀賞

キャット&チョコレート~ランサムウェア攻撃対処編~

【企画部門 優秀賞】
キャット&チョコレート~ランサムウェア攻撃対処編~

一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)

ランサムウェア攻撃への対策を目的とした対話型訓練ツール。参加者の技術的知識の有無を問わず、誰もが利用できるように作成されたカードゲームです

作品紹介サイト

受賞者コメント

櫻澤 健一

一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3) 業務執行理事

私どもは官民連携によってサイバー犯罪の被害状況を共有し、それらへの様々な対策を講じています。今回のカードゲームはランサムウェア対策に特化して、若手を中心に、そして、警察のサイバー捜査官やリサーチャーの方々にも知恵を出してもらい、誰でも楽しく、しかも切実に脅威を感じられるものを作りました。今回、素敵な表彰をしていただいたことで、より多くの方々の目に触れていただけるのではないかと期待しています。本日はまことにありがとうございます。

櫻澤 健一

審査委員 講評

森井 昌克

森井 昌克

神戸大学大学院工学研究科 名誉教授

企画部門 最優秀賞の「官学連携による「ニセ警察詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺等仮想体験ツール」の開発については、私も体験させていただきましたが、臨場感・リアリティがあり、ためになる内容になっています。特に一般の方々にとって分かりやすく、体験学習してもらう機会を生み出すきっかけになると思います。また、高校、大学、警察という官学三者が連携して、こういうものを作ったというユニークな取り組みでもあります。そうした点が高く評価されました。

優秀賞の「キャット&チョコレート~ランサムウェア攻撃対処編~」は、小中学生に大人気のボードゲーム「キャット&チョコレート」をうまく活用しています。ランサムウェア攻撃を受けた時に起こり得る様々な状況をゲームに組み、それらへの対処法を遊びながら学べるというという点が評価されました。

ご受賞、本当におめでとうございます。

審査委員長 全体講評

後藤 厚宏

後藤 厚宏

情報セキュリティ大学院大学 教授

大賞の「NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代」の関係者の皆さん、おめでとうございます。審査委員会での評点集計では、名実ともに最高得点を獲得したものでした。サイバーセキュリティ関係の事件を世界規模で取材し、そこから得られた知見からドラマを構成するというハイブリッド型のコンテンツであることが高く評価されました。私たち審査委員は日頃からサイバーセキュリティの領域に身を置く者ですが、引き込まれ、ハラハラしながら、そして楽しく拝見しました。番組企画は3年前にスタートとしたとのことでしたが、サイバー犯罪の手口はどんどん進化しています。続編、続々編の企画に既に着手されているのではないかと想像しますが、今後のサイバーセキュリティの普及啓発の新しいアプローチを開拓するような作品をお待ちしております。

審査委員会特別賞の「医療機関のサイバー対策―患者と経営を守るIT-BCPと緊急対応ガイド」については、実は審査委員会において大賞に勝るとも劣らない高い評点を獲得しました。医療機関の役割を担う全てのチームが、それぞれの立場からサイバー事故を冷静に振り返り、それらをまとめた価値については、審査委員の誰もが認めるものであり、他分野への横展開を期待させるものでした。審査委員会特別賞には、そうした評価と期待が込められているものであることをお伝えしておきたいと思います。

その他の受賞作品については、各部門ご担当の審査委員の皆さんから講評いただいた通りです。私から今回の応募作品の全体的な傾向について3点コメントさせていただきます。

第1は量の面。サイバーセキュリティの普及啓発に資するコンテンツの数が増えていることです。本アワードは今回で3回目になります。第1回は「応募が集まるんだろうか」とドキドキし、第2回は「優秀なコンテンツはもう出てこないのではないか」と心配したものですが、応募数は回を重ねるごとに増え続け、今回は100を超える応募(自薦・他薦)がありました。サイバーセキュリティ関連のコンテンツが着実に増えていることを実感させられました。

第2は質の面。受賞作品はもちろんでございますが、ノミネート作品、それ以外の応募作品も含めて、全体的なクオリティが毎年確実に上がっていると実感しています。本アワードは、「一般の方々、初学者向けにもわかりやすい」という点を評価軸に据えていますが、加えて専門家にも役立つコンテンツが増えていることをつくづく感じているところです。

第3はプラスの循環の面。本アワードは優良なコンテンツに光を当てるものですが、そうしたコンテンツが学ばれ、創意工夫が加わり、また新しい優良コンテンツが生み出されるという「プラスの循環」が生まれつつあることを実感しています。「サイバーセキュリティに関する優良コンテンツが少ない」という谷脇康彦実行委員長の問題意識から始まった本アワードにとって、本当に喜ばしいことです。

受賞された皆さん、惜しくも受賞を逃された皆さん、応募いただいた皆さん、ありがとうございました。そして次回、今回を超えるような素晴らしい作品の応募をお待ちしております。おめでとうございました。

大賞受賞者トークセッション

語り手: 四宮 秀仁 株式会社パオネットワーク ディレクター

聞き手: 篠田 佳奈 株式会社BLUE 代表取締役社長

篠田佳奈

篠田 株式会社BLUE代表の篠田佳奈と申します。サイバーセキュリティアワード2026の審査委員をさせていただきました。四宮さん、大賞受賞、本当におめでとうございます。『NHKスペシャル 創られた“真実” ディープフェイクの時代』については、私の周辺でもすごく評判が高くて、プロから見ても面白いし、一般の方々から見ても分かりやすく、素晴らしい出来映えだったと思います。まずは受賞に対する率直なご感想、受け止めからお聞かせいただけますか。

四宮 ありがとうございます。ディープフェイクについては、ここ数年興味がありまして、「子供が見ても分かるもの」を作りたいなと思っていました。だからこそ今回ドラマという手法を取ったのですが、ただしリアリティはしっかりと担保したかったので、サイバーセキュリティの専門家、AI の専門家、生命保険会社の専門家の方などに実際にはどうなのかというところについてヒアリングしてファクトを積み重ねていきました。

そこがしっかりと伝わったのは良かったと思います。一番嬉しかったのは、「子供に見せたい番組だ」というコメントをいただいたことですね。そこが目指していたところだったので。

篠田 確かに、家族を舞台にしたことで、子供の視点も自然に入ってきていますよね。

四宮 秀仁

四宮 僕自身にも小学生の娘がいて、この子たちが騙されない社会っていうものを考えることがあります。韓国ではディープフェイク性犯罪の被害が急増していることが社会問題になっていて、ひとりの親として強い危機感がありました。この企画を立ち上げた時に、NHKの方からも「この怖さをどうしたら視聴者に伝えられるかを考えてほしい」と言われました。視聴者を驚かす「怖さ」ではなくて、自分自身に起きたらどうなってしまうのかという「恐怖」ですね。それには、やはりドラマが一番適しているだろうと思いました。

篠田 サイバーセキュリティはどうしても難しくなりがちですが、ドラマ仕立てにすることで「自分ごと化」されますよね。そして、今回はドラマと実際のケースを組み合わせたハイブリッド型の構成でした。そこに至った経緯は?

四宮 ドラマとドキュメンタリーを組み合わせる手法自体は昔からあるもので、それほど新しいものではないのですが、僕自身、フェイクニュースやAIに関するドキュメンタリー番組を作った経験があって、それら2つが組み合わさってくると本当に怖いなと漠然と感じていたんです。そうしたら、2022年くらいから「ディープフェイク」という言葉が出てきて、調べてみるとAIのディープラーニングとフェイクを掛け合わせた造語で、人を簡単に騙してしまうというわけです。 それが今回の番組企画の発端だったのですが、2023年頃には実際の被害事例がそれほど多くはありませんでした。ですので、最初のプロットはディープフェイクによる冤罪事件に刑事が向き合うみたいなものでした。ところが、その後、日本国外でディープフェイク事件が次々に起こってきて大幅に書き換えることになりました。韓国の性的被害事例、アメリカや香港での詐欺事件など、「これはもう現実の問題だ!」と。 特に怖いのは、ディープフェイクが身近な人、自分の大切な人になり切った映像を簡単に作り出し、人の心に易々と入り込んでしまう点です。この場にいらっしゃる皆さんはサイバーセキュリティの専門家ですから「データをどう守るか」という観点で見られるかもしれませんが、僕たち番組制作者は「人の心を守れるのか」という観点でその動きを見ていました。そうした観点から、ディープフェイクにまつわる事件や動きを番組に生かすことを考え始め、1年かけて仕上げていきました。

篠田 この番組を作られた方は、てっきり、サイバーセキュリティにすごく詳しい方なんだろうなと思っていました。

四宮 実は私自身はサイバーセキュリティに詳しいというわけではないんです。ただ、詳しくないからこそ、専門家の方々に食らいついて「教えてください」と徹底的に聞きました。僕が分からないことは視聴者の方にも分かっていただけないので。

篠田 このコンテンツの制作、映像表現の面で苦労されたことは?

四宮 一番議論になったのは「AIがどこまで人間らしく振舞えるのか」という点です。番組の最後で、AIが心を持ったかのような振る舞いをするシーンがあるのですが、それを演じる俳優の方々は「AIは心までは表現できないのではないか」とおっしゃっていて、意見が割れた点でした。僕自身は「AIが人の心を持つかどうかは分からないが、心を持つかのように振る舞うことはできる」と思っていたので、「本当に人の心が入っているかのような演技をしてください」とお願いしました。

篠田 なるほど、制作現場でもそうした葛藤があったのですね。番組に対する視聴者の皆さんからの反応はいかがでしたか?

四宮 一番多かった反応は「怖かった」「どのホラー映画よりもホラーだった」というものです(笑)。そこまでホラーに作ったつもりはなかったのですが、ディープフェイクの怖さがリアルに伝わったという良い意味で受け取っています。

篠田 法律の話も出てきました。韓国では法制度が整い、規制が進んでいるというような。

四宮 日本がどうすべきか、どこまで規制するのかということについて僕自身は明確な意見を持っていないのですが、少なくとも危機意識は持つべきだと思っています。また、番組では犯人が詐欺罪ではなく不正競争防止法で捕まる設定で描いたのですが、複数の専門家の方々に確認して正確さを担保しました。

篠田 最後に、四宮さんが次に取り組みたいテーマは?

四宮 サイバーセキュリティ全体については、むしろこの会場の皆さんに教えていただきたいくらいです(笑)。ドラマの中で取り上げたような事件のニュースが日本でも少しずつ報道されるようになってきていますので、継続的に注目していきたいと思っています。「知るだけで防げる」ことは多いので、継続して伝えていくことに意味があると感じています。

篠田 エンタメの力で難しいテーマを伝えることの重要性を改めて感じました。今後の作品を楽しみにしています。このたびは、本当におめでとうございました。

四宮 こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。

Photo Album

実行委員長挨拶

谷脇 康彦

谷脇 康彦

デジタル政策フォーラム 代表幹事

ご来賓ご挨拶

中溝 和孝

中溝 和孝

国家サイバー統括室 審議官

閉会の辞

井田 俊輔

中村 伊知哉

デジタル政策財団 代表理事