2024年3月15日(金)16:00~17:30にて「サイバーセキュリティアワード2023」の表彰式を開催しました。サイバーセキュリティアワードは、本年度より第1回⽬として新設し展開しており、サイバーセキュリティの普及啓発に寄与した優秀な作品を選定いたしました。開催初年度にもかかわらず59件もの多くのご応募をいただき、書籍部門、Web・コンテンツ部門、フィクション部門と部門を分けた中から優れた作品を選考し表彰させていただきました。
受賞作品は以下のとおりとなっています。これらの優れた作品が、さらに多くの皆さまの目に止まるようになり、一層サイバーセキュリティの普及啓発に繋がれば幸いです。
*本イベントは2月1日から3月18日までの「サイバーセキュリティ月間」関連行事として開催いたしました。
受賞作品一覧
- 「サイバーセキュリティ、マジわからん」と思ったときに読む本
- ウクライナのサイバー戦争
- 未来をつくる仕事がここにあるサイバーセキュリティー会社図鑑
- 情報戦、心理戦、そして認知戦
- 物語でセキュリティ啓発
最優秀賞
優秀賞
- piyolog
- セキュリティ芸人 アスースン・オンライン
- プライバシーポリシーまもるくん
- AIアート、その未来について
- みんなのサイバーセキュリティコミック
- 【マンガで分かるシリーズ】我が社のプライバシー保護規制対応奮闘記!!
- 華麗なる情報セキュリティ対策
- ゆっくり解説によるサイバーセキュリティ啓発動画の配信
- サイバーセキュリティ仕事ファイル~みんなが知らない仕事のいろいろ~
最優秀賞
奨励賞
優秀賞
- 地球外少年少女
- 量子の北風
- トリリオンゲーム
最優秀賞
優秀賞

「サイバーセキュリティ、マジわからん」と思ったときに読む本
審査委員長講評より抜粋
書籍部門から最優秀賞に選ばれたのは「「サイバーセキュリティ、マジわからん」と思ったときに読む本」は思わず手に取ってみたくなる書籍タイトルで、サイバーセキュリティの基礎から技術的な事項まで網羅されています。また日常的なテーマからの視点や、イラストを活用したわかりやすい内容になっている点が高く評価されました。
受賞者コメント
数ある優秀なコンテンツがあるなかでこのような賞をいただけて大変光栄です。単著は初めてでしたが賞をいただけて報われた気がします。この書籍は知識のない人にも分かりやすく伝わることをコンセプトにしており、これを機に多くの人がセキュリティを学べるきっかけになればよいと思っています。
優秀賞5作品

piyolog
審査委員長講評より抜粋
サイバーセキュリティに関するタイムリーな情報発信と社会的価値のあるトピックが掲載されており、的確な内容と分析、一般の方のみならず専門家も情報源として活用できるような内容となっている点が高く評価されました。
受賞者コメント
最優秀賞に選出いただき誠にありがとうございます。セキュリティについてブログ発信を始めたのは10年以上前のことですが、脅威は変化し続けており、いかに先手を打って対処するかがセキュリティの要点です。また、生成AIの進化により重要かつ正確な情報の記録・共有の重要性が増しており、今後も社会に対して発信活動を続けていきたいので、ご指導・ご支援をお願いします。ありがとうございました。

セキュリティ芸人 アスースン・オンライン
審査委員長講評より抜粋
時として見始めると最後まで見てしまう内容やマニアックすぎるネタ構成など、これまでにない圧倒的に独自性のあるスタイルが高く評価されました。
受賞者コメント
このような賞をいただき誠にありがとうございます。情報漏洩の大半が人的脅威によるものであり、人のリテラシーが不可欠です。より多くの人に分かりやすく伝えるためお笑いを取り入れた作品を作りました。クリエイターにとってはビジネスでもアカデミックでもない、このような創作活動を評価してもらえ嬉しく感じます。本アワード受賞が自信にもつながり、心の脆弱性を減らすことにも繋がりました。今後も活動を続けていきます。

「プライバシーポリシーまもるくん」
審査委員長講評より抜粋
文章・文字で記載されているプライバシーポリシーをピクトグラムと短文で表現することにより、ポリシーの理解促進を促すコンテンツです。実社会における有効性や実効性は今後の取り組みに期待されるものの、着眼点や発想はユニークであり、奨励賞といたしました。

AIアート、その未来について
審査委員長講評より抜粋
「セキュリティ」をテーマにしたAIアートの企画展を実施したものですが、画像生成AIの使用を試みたり、企画から運営までひとりで行い、また、著作権をめぐる議論と、セキュリティを中心にしつつも実社会での行動を喚起する点を評価し、奨励賞といたしました。
優秀賞9作品
サイバーセキュリティ仕事ファイル~みんなが知らない仕事のいろいろ~
株式会社ラック サイバー・グリッド・ジャパン ICT利用環境啓発支援室

地球外少年少女
審査委員長講評より抜粋
いわゆるロボットものではない、日本におけるSFの完全オリジナル作品で、エンターテイメントとしてのクオリティも大変高く、物語設定においてサイバーセキュリティやハッカーの位置づけはもとより、宇宙・AI・次世代携帯端末といったテーマも含んでおり、すそ野が広く、幅広い層が楽しむことができるコンテンツとして評価されました。
受賞者コメント
賞を頂き、光栄に思います。とてもユニークな賞で、こういった取り組みでフィクションの世界を応援していただけることは、とてもありがたいことだと思います。これからも、サイバー界隈の技術の進化と共に変わりゆく脅威を観測しながら、我々も前進し続けたいと思います。改めて、この栄誉を与えて頂きましたすべての皆様に、深く感謝申し上げます。(原作・監督 磯光雄様)
優秀賞3作品
サイバーセキュリティアワード2023 審査委員長講評
サイバーセキュリティアワード2023審査委員長 後藤 厚宏
第1回目の開催にも関わらず多数の、そして多様な作品がエントリーされ、また書籍からWebコンテンツ、そしてエンターテイメントまで幅広く表彰の対象とする、過去に類を見ないアワードへの挑戦でもあることから、審査委員会は白熱した議論となりました。今回のアワードでは「わかりやすさ」「的確性」「独自性」の観点から審査委員会で議論を行い最優秀賞として4点(書籍部門1点、Web・コンテンツ部門2点、フィクション部門1点)を選出いたしました。
書籍部門から最優秀賞に選ばれたのは「「サイバーセキュリティ、マジわからん」と思ったときに読む本」は思わず手に取ってみたくなる書籍タイトルで、サイバーセキュリティの基礎から技術的な事項まで網羅されています。また日常的なテーマからの視点や、イラストを活用したわかりやすい内容になっている点が高く評価されました。
Web・コンテンツ部門から最優秀賞が2点選出されました。1点目はpiyologです。サイバーセキュリティに関するタイムリーな情報発信と社会的価値のあるトピックが掲載されており、的確な内容と分析、一般の方のみならず専門家も情報源として活用できるような内容となっている点が高く評価されました。2点目はセキュリティ芸人のアスースン・オンライン氏によるセキュリティを題材としたお笑いネタです。時として見始めると最後まで見てしまう内容やマニアックすぎるネタ構成など、これまでにない圧倒的に独自性のあるスタイルが高く評価されました。
フィクション部門から最優秀賞に選ばれたのは「地球外少年少女」です。いわゆるロボットものではない、日本におけるSFの完全オリジナル作品で、エンターテイメントとしてのクオリティも大変高く、物語設定においてサイバーセキュリティやハッカーの位置づけはもとより、宇宙・AI・次世代携帯端末といったテーマも含んでおり、すそ野が広く、幅広い層が楽しむことができるコンテンツとして評価されました。
最優秀賞作品以外にも奨励賞として2点を選出いたしました。奨励賞は「概ね30歳以下の若手によるコンテンツまたはコンテンツ制作の試みであって特に優れているもの」として選出しました。1点目はWeb・コンテンツ部門から「プライバシーポリシーまもるくん」です。文章・文字で記載されているプライバシーポリシーをピクトグラムと短文で表現することにより、ポリシーの理解促進を促すコンテンツです。実社会における有効性や実効性は今後の取り組みに期待されるものの、着眼点や発想はユニークであり、奨励賞といたしました。2点目は同じくWeb・コンテンツ部門から「AIアート、その未来について」です。「セキュリティ」をテーマにしたAIアートの企画展を実施したものですが、画像生成AIの使用を試みたり、企画から運営までひとりで行い、また、著作権をめぐる議論と、セキュリティを中心にしつつも実社会での行動を喚起する点を評価し、奨励賞といたしました。
これら最優秀賞・奨励賞以外にも優れた作品に優秀賞を差し上げることとしました。これらの作品について一人でも多くの皆さんに知っていただき、サイバーセキュリティの普及啓発に役立つことを期待しております。また、今回受賞された皆様方におかれましては、これからもさらに活動を続けていただき、更に素晴らしい作品を世の中に送り出していただくことを期待しております。
式次第
実行委員長挨拶
表彰式開催に先立ちデジタル政策フォーラム顧問でもあるサイバーセキュリティアワード2023実行委員長の谷脇康彦氏から挨拶がありました。

サイバーセキュリティアワード2023実行委員長のデジタル政策フォーラム顧問谷脇康彦氏
ご来賓ご挨拶
内閣サイバーセキュリティセンター内閣審議官(内閣サイバーセキュリティセンター副センター長)の中溝和孝様からご挨拶をいただきました。巧妙化されつつあるサイバー攻撃に対抗できるよう、「サイバーセキュリティ For ALL」をキーワードに、一人ひとりが自助・公助・共助の精神で協力しあいながら、セキュリティ意識を高めていく必要があるとお話をいただきました。

内閣サイバーセキュリティセンター内閣審議官(内閣サイバーセキュリティセンター副センター長)の中溝和孝氏
また総務省サイバーセキュリティ統括官室 参事官(統括担当)小川久仁子様からもご挨拶をいただき、DXが加速するポストコロナ時代において、サイバー攻撃に対応するためには脅威を具体的にイメージできる必要があること、イメージを喚起するために受賞作品の持つ物語の訴求力が役立つこと、そしてこのアワードが将来を担う人材を掘り起こすきっかけにつながるということをお話しいただきました。

総務省サイバーセキュリティ統括官室 参事官(統括担当)小川久仁子様
表彰状授与
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書籍部門 最優秀賞 受賞者
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Web・コンテンツ部門 最優秀賞 受賞者
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Web・コンテンツ部門 最優秀賞 受賞者
パネル討論
「サイバーセキュリティコンテンツに関して、コンテンツ自体の変化やコンテンツの役割の変化をどう捉えているか」という論点に対しては、エンターテインメントの力でサイバーセキュリティの世界が憧れの業界になればよいという意見がある一方で、コンテンツの持つエンターテインメント性により過度に誇張した風潮にならないよう注意が必要との意見もありました。
「今後のサイバーセキュリティの普及啓発の観点からどのようなものが望まれるか」との論点に対しては、サイバーセキュリティの世界を拡げるため、幼児向けや若年層向けのおもちゃや絵本、ゲームといった今まで興味のなかった層にまでリーチできるような作品が必要であり、直接的でなくても見終わったときにサイバーセキュリティの重要性が喚起されるようなコンテンツを期待する声が挙がりました。
また、実行委員長の谷脇氏からは、「今回のアワードは初めての試みだったが、サイバーセキュリティの啓発につながるコンテンツを発掘し、セキュリティの在り方を考えられるきっかけになれたらよい」と次回開催への期待を込めたコメントがありました。

パネル討論の様子。左からモデレータのデジタル政策財団理事 菊池尚人氏、審査委員の㈱ラック代表取締役社長 西本 逸郎様、審査委員の㈱FFRIセキュリティ代表取締役社長 鵜飼 裕司様、審査委員の神戸大学大学院 教授 森井 昌克様、審査委員長の情報セキュリティ大学院大学 学長 後藤 厚宏様、サイバーセキュリティアワード2023実行委員長のデジタル政策フォーラム顧問 谷脇康彦氏。画面上のオンライン参加は審査委員の(国研)情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 執行役・研究所長 盛合 志帆様。
閉会の挨拶

(一財)デジタル政策財団理事長 中村伊知哉氏
本アワードは「サイバーセキュリティ」をより身近に考える環境を整備し、日本におけるサイバーセキュリティ・リテラシーの向上に寄与し、イノベーションを活性することを目指します。この活動を定着させ、より発展させていくため、デジタル政策フォーラムでは、今後も活動を強化してまいります。当日開催状況